コレラの概要
コレラは、コレラ菌(ビブリオ・コレラ菌)のうち特に血清型O1型およびO139型のコレラ毒素産生株が原因となる急性胃腸炎です。主に汚染された飲料水や食品を介して感染します。大量の水様性下痢を特徴とし、適切な治療を受けない場合は、急速な脱水によって命に関わることがあります。日本での発生は稀ですが、発展途上国や自然災害後の衛生環境が悪化した地域で流行することが多いです。
流行地域
コレラはアフリカ、南アジア、東南アジア、中南米の一部地域で頻繁に発生します。特に、清潔な水や衛生施設へのアクセスが限られている地域でリスクが高まります。
予防
- 衛生対策:
- 清潔な飲料水を使用する。
- 生ものや加熱が不十分な食品の摂取を避ける。
- 手洗いを徹底する。
- 予防接種:
- 高リスク地域への渡航を予定している場合、コレラワクチンの接種が推奨されます。
コレラワクチンについて
ワクチンの種類
現在、日本で使用可能なコレラワクチンはありません。世界的に使用されているワクチンは「オーラルコレラワクチン(商品名:デューコラ)」があります。このワクチンは経口ワクチンとして飲むタイプです。
用量・用法
- 成人および6歳以上の小児に対しては、1回1.5mLを1~2週の間隔で2回内服します。2年後に1回追加接種します。
- 2歳以上6歳未満の小児に対しては、1回1.5mlを1~2週間隔で3回内服します。6か月後に1回追加します。
- 渡航の少なくとも1週間前までに完了する必要があります。
効果
- 2回接種後、コレラ予防効果はおおよそ85~90%とされています。
- 効果は約2~3年間持続しますが、長期滞在の場合は追加接種を検討します。
副反応
- 一般的な副反応には、軽度の胃腸症状(下痢、腹痛)や吐き気が含まれます。重篤な副反応は非常にまれです。
接種推奨
以下の状況に該当する方に、コレラワクチン接種が推奨されます:
- コレラ流行地域(特に衛生状態が悪い地域)への渡航者
- コレラ感染リスクが高い職業(例:医療従事者や災害支援活動者)
- 清潔な飲料水や食料が確保しにくい環境での長期滞在者