乳児血管腫について

乳児血管腫(Infantile Hemangioma)について

乳児血管腫は、以前は「いちご状血管腫」と呼ばれていました。乳児期に発症する良性の脈管性腫瘍のひとつです。

乳児血管腫は、出生時には小さいもしくは認められないですが、徐々に大きくなって、見た目がいちごのようになることがあります。

特徴は以下のようになります

  • 日本での有病率は1.7%と頻度は高い
  • 男女比は1:3~9と女児に多い
  • 早産児や低出生体重児に多い(筆者はNICUでよく治療しました)
  • 発生部位は、頭頚部60%、体幹部25%、四肢15%で、顔など目立つ部分に認められた場合は見た目が問題になることがあります 
  • 分類は局面型、腫瘤型、皮下型および混合型があります

乳児血管腫の自然経過

増殖期:生まれたときには病変は認められないですが、生後2週程度で顕在化してきます。生後5~7週で急速に増大し、生後5か月までにピーク時のサイズの80%の大きさになります。

退縮期:増殖のピークを過ぎると腫瘍病変は自然退縮しますが、腫瘍消失の年齢の中央値は3歳ごろとされています。

消失期:25~70%の患者さんで、皮膚萎縮や瘢痕、毛細血管拡張などの痕が残ることがあります。

乳児血管腫は自然に退縮することが多いですが、一方で多くのお子さんで病変部の皮膚の萎縮や瘢痕を残すことが問題です

乳児血管腫の治療

乳児血管腫は多くの場合、自然経過で退縮することが多いので、治療の適応となる血管腫は以下の時になります

  • 生命や機能を脅かす合併症を伴う乳児血管腫
  • 顔面の広範な乳児血管腫
  • 増殖が急激な血管腫
  • 潰瘍を形成している乳児血管腫

このような血管腫は、大学病院などの専門病院で治療を行います。

クリニックで対応可能な乳児血管腫

腫瘤型の血管腫で、顔などの露出部にできた血管腫は 将来、審美面で問題になることが多く治療の適応になります。

乳児血管腫の治療として以下のようなものがあります

  • プロプラノロール(ヘマンジオルシロップ®)内服
  • レーザー治療
  • ステロイド
  • 手術

などがあります。

なかでも、クリニックで実施しているのは、プロプラノロール(ヘマンジオルシロップ®)による内服治療です。

血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドラインでも、プロプラノロールは第一選択薬として推奨されています。

2016年に保険収載(健康保険が使えます)され、内服治療が可能になりました。

NICUでの乳児血管腫の治療経験を活かして、クリニックでも内服治療ができるようにしています。

島根県のクリニックで乳児血管腫の内服治療を行っているのは、当クリニックのみです(おそらく)

できるだけ、乳児期早期(生後2か月ぐらいまで)に治療を介した方が、良好な治療成績を得られるように思います。

もし、乳児血管腫の治療で内服治療をお考えの方は、ぜひクリニックまでご相談ください。

こちらの記事で治療の概要、流れについて説明していますのでご参考になさってください。