サウナとの出会い
私が体調を崩したのは2018年の年末だったわけですが、いま振り返ると、まったく生活が「ととのって」いなかったと思います。その頃の私といえば、日々の診療に加えそのほかの業務で多忙を極め、徐々に酒量も増え、熟眠もできず、常に頭がボーっとしているような状況でした。器にぎりぎり限界まで入った水が溢れかえると堰を切ったように流れ出てしまうのと同じように、いちど崩れてしまうと悪くなるのはあっという間でした。その後の療養についての委細は省きますが、その時に出会ったのが「サウナ」です。いまでは「ととのった」という流行語とともに、世間では大変なサウナブームになっていますが、当時はまだブームはそこまでではなく、時間もあったのでサウナに入ってみようと思ったのがきっかけでした。その頃よく行っていたマリンタラソ(多伎町)やリッチガーデン(出雲市医大近く)で「ととのい」体験をしたことがきっかけで、徐々に自分を取り戻すことができました。
ととのったの正体:サウナで生じるからだの変化
巷でよく耳する「ととのった」というフレーズですが、その際に医学的にはどのような身体の変化が起こっているのでしょうか?それにはまず正しいサウナの入り方について知る必要があります。一般的なサウナの入り方としては、サウナ室(10分程度、心拍数が120bpm程度になるまで)→水風呂(16~17℃で1分程度)→休憩(5~10分)を1セットとします。サウナ室に入ると交感神経が優位になります。サウナ室を出るといったんもとに戻り、水風呂に入ることで、再び交感神経が優位になります。この時、体は日常とは違う過酷な環境に適応するためにアドレナリンを出して興奮状態にあります。しかし、ここで休憩(できれば外気浴がベター)を行うことで、人体は生命の危機を脱したと感じ、一気に副交感神経が優位になります。この所作を3~4セット繰り返すことによって、血中には興奮状態の時にでるアドレナリンが残っているのに、自律神経はリラックス状態の副交感神経優位となり、「リラックスはしているけど眠いわけではなく脳はすっきりしている」状態になり、これがいわゆる「ととのった」となるわけです。
サウナの効能
サウナの効能効果としては、北欧を中心に研究報告が多数あり、下記の書籍に紹介されているものには、睡眠が深くなったり、自律神経が鍛えられたり、感覚が研ぎ澄まされるといったものがあります。私がおすすめしたいサウナの特筆すべき点としては、サウナの後は瞑想をした状態に近い効果が得られる点です。サウナに入るとDMN(デフォルト・モード・ネットワーク)の消費量が減ります。DMNはぼーっとしている時、脳が意識的に活動していない時に働いてしまう脳回路ですが、脳の消費エネルギー量の70~80%を占めるとされています。サウナに入ると強制的に思考を停止させられるため、DMNの消費量が減り、このことで脳がすっきりする、脳疲労を防ぐといった効果を得ることができます。
今回、サウナについて私なりにまとめてみました。参考までにおすすめのサウナについて下記で紹介しておきます。一緒にサウナに入ってみたい方がおられましたら、どこかの機会にぜひお声掛けください。最後までお読みいただきありがとうございました。
【参考文献】
加藤容崇 医者が教えるサウナの教科書 ダイヤモンド社
タナカカツキ サ道 心と体が「ととのう」サウナの心得 講談社
山陰のおすすめサウナ施設5選
- 四季荘:湯の川温泉、フィンランドサウナ×深い水風呂×外気浴
- Nature Sauna:鳥取県琴浦町一向平キャンプ場内、キャンプ×大山滝トレッキング×フィンランドサウナが味わえる
- サウナ風:温泉津温泉薬師湯近く、究極のDIY系サウナ、週末のみ営業
- オーシャン:皆生温泉の日帰り入浴施設、サ飯、寝転びスペースで一日中過ごせる
- ラピスパ 鳥取県淀江町 山陰道淀江IC近く ワイン樽サウナ×ナポリタンが最高