食物経口負荷試験(oral food challange: OFC)は、食物アレルギーの最も確実な診断法です。
OFCを行う目的は、①原因アレルゲンの同定と②安全摂取量の決定および耐性獲得の確認のために行います。
クリニックでは以下の流れで、OFCを実施しています。
事前準備
原因食物の特定
詳細な問診:まずは確実な診断をするために、原因となるアレルゲンについて、お話をお聞きしながら推察していきます
血液検査は、あくまで食物アレルギー補助的な診断ですが、OFCのリスク確認のためにも実施しています。
CBC、白血球分類、総IgE、TARC、特異的IgE など
リスク評価
OFC実施するのにあたり下記の項目に当てはまるものがないことを確認します。
- アナフィラキシーの既往はない
- sIgE抗体価高値がない (鶏卵→オボムコイドclass3以上、牛乳→class3以上、小麦→class1以下、ナッツ系はアナフィラキシーのリスク高いのでクリニックでは実施していません)
- 喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎の増悪期ではない
定期内服薬の中止
ほかのアレルギー疾患の治療で、以下の内服をされている場合には、検査の前に内服薬をいったん中止していただきます。
- ヒスタミンH1受容体拮抗薬(レボセチジリン、フェキソフェナジン、ロラタジンなど) 72時間前
- ロイコトリエン拮抗薬(プランルカスト、モンテルカストなど) 24時間前
- β2刺激薬(ホクナリン、メプチンなど) 12時間前
- 経口ステロイド(プレドニゾロン など) 7~14日
説明・同意書
検査前には、保護者様にOFCについて説明しますので、当日までに同意書にサインしてご持参いただいております。
OFCは受診から帰宅まで合わせて2~3時間ぐらいかかります。
クリニックでは、検査に使う食物は自宅で調理していただいています。
負荷試験検査日の予約について
平日の9:30の枠を前日までに予約いただいています。(15時からも可能ですが、何か症状があった時に午後にも受診可能です、土日は症状があった時に対応が難しいため、検査はご遠慮いただいております)
検査当日の流れ
検査当日の食事
検査4時間前からはお食事は控えていただきます。乳児や幼児は軽めのお食事は問題ありません。
診察
検査当日、発熱や咳、喘鳴、嘔吐、下痢などの体調不良がないことを確認します。
喘息やアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎の増悪がないことを確認します。
症状出現時の内服薬の処方:検査前にあらかじめ処方しますので、お薬を取りにいっていただきます。
ザイザル®(レボセチジリン) 1歳未満 2.5ml/回、1歳~7歳未満 5ml/回、7歳以上 10ml/回
負荷試験食の準備:
・鶏卵 卵(Mサイズ)1個を固ゆで20分で用意してきていただきます。
少量 加熱全卵1/32~1/25個
中等量 加熱全卵1/8~1/2個
日常摂取量 加熱全卵2/3~1個
・牛乳 ふだん家庭で飲んでいるパック乳を持ってきていただきます。
少量 1~3ml相当
中等量 10~50ml相当
日常摂取量 100~200ml相当
・小麦 袋入りのうどんなどを湯がいた状態で持ってきていただきます。
少量 うどん1~3g
中等量 うどん10~50g
日常摂取量 うどん100~200g または 6枚切り食パン 1/2~1枚
試験の実際:
クリニックでは、原則として「オープン法、単回(リスクが高い場合は分割法最初1/4、1時間後3/4)」で実施しています。
摂取後は、待合や処置室で安静を保ち、15分ごとに血圧やSpO2、症状の有無などをチェックしていきます。
症状出現時は速やかにスタッフまでお声掛けをお願いします。
摂取後60分は院内で観察します。接種開始後2時間経過したところで検査はおしまいです。
症状出現時の対応
「食物経口負荷試験による症状出現時の対応マニュアル」に沿って対応します。
呼吸器症状あり:メプチン1A+生理食塩水2ml もしくは メプチンエアー1プッシュ 吸入
じんましん:ザイザル内服→症状改善なければデカドロン内服
アナフィラキシー(グレード3以上):ボスミン0.15ml 筋肉注射 大腿外側
ただし、アナフィラキシーを認めた場合は、救急医療機関へ搬送が必要になる場合があります。
OFCは食物アレルギーの診断には欠かせない検査です。クリニックでは安全に配慮して、緊急時にも対応できるように体制を整えて、実施しています。OFC実施について、ご不明な点がございましたら、お気軽にスタッフまでお問い合わせください。