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当院での舌下免疫療法の治療の流れ

アレルギー性鼻炎は、アレルゲンと呼ばれる原因物質(ダニ、スギ花粉など)によって引き起こされます。舌下免疫療法は、アレルギーの原因となっているアレルゲンを、少量から徐々に量を増やし毎日繰り返し投与することにより、体をアレルゲンに慣らし、症状を和らげる治療法です。根本的な体質改善(長期寛解・治癒)も期待されます。

舌下免疫療法について

まず、問診と血液検査または鼻汁検査で、アレルギーの原因になっている抗原を確認します。検査の結果、スギないしダニにアレルギーの反応が出ているようであれば、治療の適応があります。

スギに対する治療は、花粉が飛散している時期には実施できません。準備期間を含め、6月から遅くても11月までに治療を開始されることをおすすめします。ダニに対する治療は、通年で実施できます。ダニとスギを同時に治療することもできますが、治療開始時はどちらか一方です。

治療は1日1回舌下に薬剤(当院ではダニに対してはミティキュア®、スギに対してはシダキュア®を使用しています)を投与します。

投与後は1分間は舌下に保持し、その後飲み込みます。投与後5分間はうがいや飲食を控えます。また、投与前後2時間程度は入浴や飲酒・激しい運動を避けます。

投与する薬剤の量は、まず最初の1週間は少ない量(ミティキュアなら3300単位、シダキュアなら2000単位)で開始し、1週間後問題なければ、維持量(ミティキュアは10000単位、シダキュアは5000単位)に増量します。

治療期間は、通常3年以上が推奨されます。投与を長期中断した後や再開する場合は、医師に相談する必要があります。なお、当院への通院が難しい場合や治療途中での転居の必要性が生じた場合は、近くのアレルギー専門医療機関を紹介のうえ治療を続けることも可能です。

舌下免疫療法を実施できる方、できない方

実施できる方
  • ダニまたはスギが原因のアレルギー性鼻炎がある
  • 舌下に薬を保持することができる
実施できない方
  • 5歳未満のお子さん
  • アナフィラキシーを起こしたことがある
  • コントロールのついていない気管支喘息やアトピー性皮膚炎がある
  • 免疫不全もしくは免疫抑制剤を使用している

舌下免疫療法の副反応

副作用としては投与部位である口腔内の腫れ、痒みなどが最も多くみられます。特に投与後30分間、投与開始初期のおよそ1ヵ月間などは注意が必要です。これらの副作用は投与後数時間で自然に回復することが多いのですが、症状が長時間持続する場合は、医師に相談してください。また、アナフィラキシーなど重篤な症状が起こる可能性もあります。アナフィラキシーと考えられる症状が発現した際は、直ちに医療機関を受診するなど迅速な対応が必要です。

舌下免疫療法の費用について

舌下免疫療法はアレルギー性鼻炎の治療法として健康保険でカバーされます。健康保険で3割負担の方は、お薬代(1種類)として月約3000円程度のご負担で実施できます。そのほかに、1か月~3か月に1回の診察代もかかります。小児の場合は、お住いの市町村によって異なりますが、「こども医療費助成制度」が利用できます。

小学生のおこさんに舌下免疫療法をおすすめする訳

私自身もアレルギー性鼻炎を高校生のときに発症して以来、約20年以上の病歴がありますが、年齢を重ねるとアレルギー症状は多少軽減することはありますが、基本的には治らないことを実感しています。部活や受験、就職、子育て、人生で最も輝いている時期をアレルギーの症状で、薬を飲んだり、鼻が詰まって眠れなかったり、頭がボーとしてパフォーマンスが落ちたりするのはもったいない気がします。

私の意見として、子ども、特に小学生中学年から高学年のうちに、舌下免疫療法を行った方がよいと考えています。なぜなら、舌下免疫療法は内服で治療ができる簡便さがありますが、基本的に毎日、そして最低3年間は治療を継続していただく必要があるからです。

小学生はまだ親の言うことを聞いてくれることも多く、本人のやる気だけでなく、親の目もあることで治療の継続がしやすい点が挙げられます。中学生や高校生になってくるとだんだん思春期に入り、親の干渉を拒むようになったり、勉強や部活動などで忙しくて、ついついお薬を忘れがちになり、治療のモチベーションが維持できないことも多いです。

また、小学生のお子さんの場合は、多くの自治体で「こども医療費助成制度」があるため、費用的な面でも継続しやすいと思います。

また医学的にも、アレルギーマーチを断ち切るためにも小学生が最後のチャンスと考えています。

クリニックでの舌下免疫療法の流れ

舌下免疫療法は安全な治療ではありますが、ごくまれにアナフィラキシーやじんましんなどの強い反応が起こることがあり、特に治療開始初期に多いことから、初回投与は医療機関内で行い、その後30分~60分程度は医師の監視下で待機し、重大な副反応が起こらないか経過観察する必要があります。

初回診察

まず、クリニックを受診していただき、くわしくお話をお聞きし、診察をさせていただきます。

その後、アレルゲンの同定のため、血液検査や鼻汁の検査を行います。小児科なので採血は上手にできると思います。

そのほか、症状がつらいようでしたら、抗アレルギー薬や点鼻薬の処方も合わせて行います。

1週間後に結果説明をしますので、再診していただきます。

再診時

再診時に、アレルギー免疫療法について説明をしますので、ご質問や確認したいことがあれば遠慮なくお尋ねください。

治療について話を聞いていただいて、舌下免疫療法を始めてみたいという方は、クリニックを予約のうえ再診ください。

原則、平日でしたら17時までにご来院いただくか、土日で治療開始ご希望の場合は朝9時の枠をご予約ください。

舌下免疫療法初回

受診の際に、体調が問題ないか確認し、初回分のお薬を処方しますので、お薬を薬局に取りに行っていただきます。

その後、クリニックで医師の説明を聞いていただきながら、薬の内服を行います。

内服後、副反応がみとめられないかクリニックで1時間ほど様子を見させていただきます。

途中で何回かお声掛けしますので、体調が悪くなった場合はすぐにお声掛けください。

内服から1時間経過したら、問題がないかもう一度診察し、この日は終了になります。1週間後の再診をお願いします。

翌日以降、ご自宅でご自身で治療を行っていただきます。

舌下免疫療法増量

受診の際に、1週間のご様子をお伺いし、大きな副反応なく実施できそうであれば、増量分の処方をします。

その後、クリニックで医師の確認のもと、薬の内服を行います。

内服後、前回と同様に1時間程度、様子を観察させて頂きます。

途中で何回かお声かけしますので、体調が悪くなった場合にはすぐにお声かけください。

内服から1時間経過しましたら、もう一度診察を行い、終了となります。

翌日以降は、決められたタイミングでご自宅でご自身で治療を継続していただきます。

ご様子にお変わりなければ、1か月後にご受診いただきます。以後は1か月~3か月ごとに定期的にご受診いただきます。

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