液体ミルクは調乳済みのミルクが液体の状態でパックされている製品です。お湯や水に溶かす必要がなく、成分は粉ミルクと同じで、そのまま赤ちゃんに与えることができるのが特徴で、長期保存、常温保存が可能なのが特徴です。2019年に日本でも発売されるようになりました。
災害用備蓄品としての液体ミルク
近年、大地震や大雨・台風などの自然災害の激甚化によって、日本は大規模な災害に相次いで見舞われてきました。
災害用の備蓄のなかでももっとも必要なものは食料と水です。特に乳児にとっては、栄養の摂取が生命の維持に直結します。災害時は、お母さんにもストレスがかかって母乳の分泌が減ったり、避難所が安心して授乳ができる環境が十分に確保されていなかったりして、赤ちゃんの栄養が足りなくなる可能性があります。災害備蓄として推奨されているのは10日間×家族の人数分ですが、最低限の量としては、ライフラインが復旧するまでに必要とされる3日分×家族の人数分を用意しておく必要があります。災害時には避難所に粉ミルクが備蓄されていても必要とする赤ちゃんが多かったり、調乳に必要なお湯が手に入りにくかったり、哺乳瓶が洗えなかったりで、衛生的に調乳ができない場面が十分に想定されます。
粉ミルクで調乳する場合、備蓄する備品として粉ミルクのほかに、哺乳瓶や水、湯沸かし器具、燃料、哺乳瓶の消毒などとても多くの備品が必要になります。その点、液体ミルクは常温で保温でき、衛生的に使えることから、家庭での備蓄品の削減に大きく貢献することが期待されます。また、赤ちゃんが欲しい時にすぐにあげられることも大きなメリットといえます。また被災すると、家の片付けや地域での共助活動などで赤ちゃんを一時的に預ける必要性に迫られるときがあります。そんな時でも液体ミルクがあれば、ひとまず安心して預けることができると思います。
カップフィーディング(コップを使った授乳方法)
哺乳瓶が手に入らないとき、衛生的に調乳が出来ないとき、避難所でも手に入るだろうカップで授乳することが可能です。
液体ミルクを使用するときの注意
- 液体ミルクはそのまま常温で使えます。滅菌されていますので、70℃以上に温める必要はありません。
- 長期保存が可能ですが、保存料は含まれていません。
- 飲み残しは雑菌が繁殖する可能性があります。開封後はすぐに使って、飲み残しは廃棄するようにしてください。
液体ミルクの是非
母乳は確かに赤ちゃんの成長に、とても大事なものですが、災害などの緊急時や、お母さんの健康状態や母乳の分泌状況、ご家庭の事情によっては、母乳が十分に得られない場合があると思います。そんな時は、「液体ミルク」の力を借りましょう。液体ミルクを使ったからといって、決して赤ちゃんへの愛情が変わるものでもありません。