こどもの病気 その他

漢方薬 症状別の頻用処方

クリニックでは患者さんの症状に合わせて、処方を決めています。生薬であり、副作用が少ない漢方薬と言われますが、思わぬ副作用が出現することもあります。ご自身で内服される場合は自己責任でお願いいたします。当方では責任を負いかねます。

急性胃腸炎

五苓散 ごれいさん

五苓散は本当によく効きます、しかも即効性があります。嘔気や下痢などの胃腸炎症状の時、二日酔いで身体がむくんでいるとき、乗り物酔い、頭痛(特に天候がかかわる)などに飲むとすっきりします。お酒の飲みすぎにはもちろん注意が必要ですが、飲む前には黄連解毒湯、二日酔いには五苓散、これらは結構愛飲しているお医者さんも多いです。五苓散は桂皮が入っているので、シナモンの味がして、比較的飲みやすい処方ですが、黄連解毒湯は漢方薬でも一二を争うぐらい、苦くておいしくない処方です。

鼻炎

小青竜湯 しょうせいりゅうとう

水っぱな、さらさらな鼻汁の時が飲むタイミングです。症状が出だしてからも、1包飲めば、30分ぐらいで効果が期待できます。ただ、効果の持続は長くないので、症状続くときは1日3回必要です。エビデンスも豊富で、鼻アレルギーの診療ガイドラインでも推奨薬のひとつになっています。ただし、かなり酸っぱい味がします。

葛根湯加川芎辛夷 かっこんとうかせんきゅうしんい

かぜをひいた後に鼻水が長引く場合や慢性副鼻腔炎の時に内服します。

かぜの初期

麻黄湯 まおうとう

かぜの初期、熱が上がるときに飲むといいです。特に、小さいお子さんなどの高熱の時に処方されます。RSウイルス、アデノウイルスなど。麻黄が入っているので、解熱したら飲むのを終了するのも大切なポイントです。

葛根湯 かっこんとう

おとなのかぜによく処方されます。かぜの初期、熱が上がりきる前に飲むとよいです。乳腺炎のときなどにも処方されます。

夜泣き・かんしゃく・チック

甘麦大棗湯 かんばくだいそうとう

甘草(かんぞう)、小麦(こむぎ)、大棗(なつめ)の3つの生薬から構成されています。とても甘いので、お子さんでも飲みやすいです。かんしゃく持ちや夜泣きでお困りの場合、かぜのあとで機嫌が悪い時など、寝付く前に飲ませてみます。中にはすぐに効果がみられる子もおられます。

抑肝散 よくかんさん

抑肝散は、よく癇癪や夜泣きがひどいお子さんの漢方薬として処方されます。「母児同服」母とこども、同じタイミングで内服するということでも有名な漢方薬です。

虚弱、だるい、腹痛

小建中湯 しょうけんちゅうとう

こどもの万能薬の漢方薬です。元気がない、食欲がない、おなかが痛い、おねしょなど処方する場面は多いです。味は水あめが入っているので、甘くて、少し癖がありますが、比較的飲みやすい漢方薬です。

補中益気湯 ほちゅうえっきとう

体がだるい、元気がない、起立性調節障害、風邪をこじらせた時によく効きます。補気剤は不足した気(げんき)を取り戻すのに有効です。補気剤には、ほかにも、人参養栄湯、十全大補湯などがあります。

筋肉痛、こむら返り予防

芍薬甘草湯 しゃくやくかんぞうとう

マラソンや激しい運動をするときに、こむら返りや筋肉痛を予防するのに、効果があります。また、胃痙攣やしゃっくりが止まらないときに飲むと効果があります。緊張性頭痛や月経痛などにもよく用いられます。構成生薬が芍薬と甘草のみの単純な処方ですが、汎用性は高く、効果も即効性があります。

。頻尿、膀胱炎

猪苓湯 ちょれいとう

膀胱炎に伴う諸症状の改善には、よく効きます。五苓散に似た生薬で構成される処方で、比較的飲みやすいです。

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