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A群溶連菌感染症について

A群溶連菌は、こどもやおとなにかかわらず咽頭炎を起こす細菌です。ほかに急性咽頭炎の原因となる病原体として、ウイルス性のものはパラインフルエンザ、コロナ、ライノ、EBウイルス、アデノ、エンテロなどたくさんあります。一方で、A群溶連菌が咽頭炎の原因に占める割合は、小児でも15~30%、成人では5~10%程度とされており、細菌性の占める割合は多くありません。

A群溶連菌の診断

A群溶連菌の咽頭培養の感度は95%、迅速キットの感度は80~90%特異度は95%以上です。日常診療では咽頭培養はあまり行わないため、基本的にはCentor Criteriaで検査前確率を上げて、迅速検査を行って陽性であれば、確定診断します。A群溶連菌の潜伏期間は通常2~4日程度であり、シックコンタクト(まわりに溶連菌の方がいる)があれば、さらに検査前確率をあげることができます。

modified Centor Criteria

38℃以上の発熱1点
咳がない1点
圧痛を伴う前頚部リンパ節腫脹1点
白苔を伴う扁桃腺炎1点
年齢が3歳以上15歳未満1点
年齢が15歳以上45歳未満0点
年齢が45歳以上-1点

A群溶連菌の確率:

0点→0~3%、1点→4~6%、2点→10~12%、3点→27~28%、4~5点→38~63%

このことから、クリニックでは臨床的に溶連菌を疑い、Centor Score3点以上で迅速検査を行い、陽性なら抗菌薬を処方するようにしています。またEBウイルスによる伝染性単核球症にペニシリン系抗生剤を使用すると、高頻度に皮膚に発赤を生じるので、抗生剤を投与する際に、溶連菌のチェックをしておくのは理があるとも考えます。

3歳未満のA群溶連菌性咽頭炎は診断する必要がない!?

IDSAのガイドラインでは3歳未満のお子さんでは、溶連菌は治療する必要がないとしています。

この理由として、以下のように理由を挙げています。

  • 3歳未満ではリウマチ熱発症のリスクが極めて低い
  • 3歳未満ではA群溶連菌咽頭炎の罹患率が低い
  • 3歳未満では典型的な臨床像(白苔を伴う扁桃腺炎、頚部リンパ節腫脹など)が少なく、診断が難しい

小児でのA群溶連菌性咽頭炎の罹患率について、学童期では37%ですが、5歳未満では24%、3歳未満だと10~14%まで低下します。ですので、やみくもに検査を行っても、感度が低くなり、かつリウマチ熱の合併も少ないことから、積極的な検査の対象にはなりにくいと思います。

さらに難しくさせているのが、無症状の保菌者の問題があります。冬から春の流行時期には学童の小児の15%がA群溶連菌の保菌者()であることから、今起こっている咽頭炎が本当に溶連菌が原因かどうかはよく考えないといけません。また除菌の確認に迅速検査は無意味であることも同じ理由です。

溶連菌の治療について

溶連菌は基本的に自然に治る疾患ですが、治療する目的は以下のとおりです。

  • 症状改善が1日だけ早くなる
  • 扁桃周囲膿瘍、咽後膿瘍、頚部リンパ節炎などの感染症の合併症を予防する
  • リウマチ熱を予防する
  • 周囲への流行を予防する

使用する抗菌薬については、基本的にペニシリン系抗菌薬が第1選択です。これは、基本的に溶連菌がペニシリンに耐性がないことから、できるだけスペクトラムの狭いペニシリンを使った方が、薬剤耐性菌の点からもよいと考えます。また溶連菌の合併症であるリウマチ熱の予防効果が証明されているのは、ペニシリン系抗菌薬のみである点があります。第3世代セフェム系抗生剤で代用する研究報告もありますが、第3世代のセフェム系は腸管からの吸収が悪い点やピボキシル基のあるセフェム系抗生物質(セフカペンピボキシル→フロモックス、セフジトレンピボキシル→メイアクト、セフテラムピボキシル→トミロン)は低カルニチン血症による低血糖を引き起こすリスクがあります。以上のことから、私は溶連菌に対してはペニシリン系を第1選択としています。ペニシリン系抗生剤にアレルギーがある場合の第2選択として、セファロスポリン系抗生剤の5日間投与もしくはアジスロマイシンの3日間投与で治療を行います。

アモキシシリン 50㎎/kg/日 1日2回もしくは1回 10日間

溶連菌感染症であれば抗菌薬開始後1日~3日(通常1日)で解熱します。ですので抗菌薬内服しても発熱が続く場合は、診断が違うことがありますので、受診していただくことになります。また溶連菌は治療開始後24時間経過すれば、感染性はなくなるので、解熱して全身状態が問題なければ保育園や学校は問題ありません。以前は、溶連菌治療後に2週間ぐらいで尿検査を行っていましたが、最近は行っていません。

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