子ども達が制約のない社会生活を取り戻すためにはどうしたらいいのでしょうか?
- 新型コロナウイルスに感染して、自然免疫を獲得する
- 新型コロナウイルスワクチンを接種して、免疫を獲得する
- 感染しないための感染対策を継続して、集団免疫を獲得するまで待つ
結局のところ、集団免疫が得られるか、社会で特別な感染症として扱われなくなるまでは、withコロナの生活を続けることになります。
どのシナリオが望ましいか、いっしょに考えてみましょう
もし、お子さんが新型コロナウイルスにかかると・・・
小児では新型コロナウイルスに感染しても軽症で終わることが多いです。
一方で、下記のことが懸念されます。
合併症・重症化のリスク:
小児特有の合併症として小児多系統炎症症候群(MIS-C) 0.1%程度 日本ではもっと少ないかも
2021年4月〜12月の5〜11歳の新型コロナ感染者は6万1967人で、そのうち中等度以上は171人(約0.3%)、重症25人(0.04%)、死亡0人
コロナ後遺症:まれではないかも 倦怠感が続く、息苦しさ、脱毛、集中力の低下など
隔離が必要:軽症や無症状でも病院や療養施設、自宅からしばらく出られない
家族や友人など周囲の大切な人に感染を広げてしまう可能性がある
そもそも子どもは軽症で済むから、ワクチン打たなくてもいいんじゃない? むしろ、かかった方がよいのでは?
新型コロナウイルスにかからない方がよさそうだけど、ワクチンも怖いな
お子さんが新型コロナウイルスワクチンを接種するメリットとデメリット
メリット | デメリット |
重症化するリスクが大幅に減る | 副反応が起こりやすい |
感染するリスクが減る | 局所反応:接種部位の痛みや腫れなど |
感染させるリスクが減る | アナフィラキシー:100万人に5人 |
学校でのマスク生活が終わる | 心筋炎・心膜炎:0.0001% |
学校行事や部活を制限なく再開できる | 長期的な副反応が明らかになっていない* |
外出や旅行の制限がなくなる |
メリット、デメリットを天秤にかけて考えてみるのもいいですね。
子ども用の新型コロナウイルスワクチンってどんなもの?
小児(5~11歳)用の新型コロナウイルスワクチン
使用するワクチンは ファイザー社製の「コミナティ筋注5~11歳」です。
1回接種量は0.2mL(成人用のワクチンと比べて有効成分が1/3になっています)で、筋肉注射です。
通常、3週間の間隔をあけて、合計2回接種します。
新型コロナウイルスワクチンの有効性
アメリカからの報告では、2回目接種後の7日以降の発症予防効果は90.7%と報告されています(オミクロン株出現前のデータ)。
イスラエルの最新の研究では、ワクチンを2回接種した5歳から11歳の子どもたちは、未接種の子どもたちと比べてオミクロン株に感染するリスクが約2倍低いことが明らかになっています。
新型コロナワクチンの副反応
注射部位の痛みが一番多く、1回目で74%、2回目で71% のお子さんで認められます。
38℃以上の発熱は 1回目で2.5%、2回目で6.5% で思ったより多くありませんね。
数日以内に起こることのある症状
50%以上 | 注射した部位の痛み、倦怠感 |
10~50% | 頭痛、注射した部位の発赤・腫脹、筋肉痛、悪寒 |
1~10% | 下痢、発熱、関節痛、嘔吐 |
ここまで、新型コロナウイルスとワクチンとの関係について述べてきました。
新型コロナウイルスワクチンを打つか打たないかは、最終的にはご家族の判断になりますが、判断の一助になればと思います。
参考文献
日本小児科学会 5~11歳小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方
日本小児科医会 5歳~11歳の新型コロナウイルスワクチン接種にあたって
厚生労働省 新型コロナワクチン接種についてのお知らせ
追記:
あくまで個人的な意見ですが、重症化を防ぐ点、集団免疫を得るという点、早く通常の学校生活や社会生活を取り戻すという点からも、打てるおこさんは、打った方がよいように思っています。
その中でも、優先すべきお子さんとして、以下のお子さんを想定しています。
- 基礎疾患(糖尿病、心疾患、神経疾患、呼吸器疾患など)のあるお子さん
- 同居家族に高齢者がいるお子さん
- 家族の仕事がエッセンシャルワーカーのお子さん
ご意見がありましたら、教えてください。