予防接種 未分類

当院で接種可能なトラベラーズワクチン

A型肝炎ワクチン (接種回数3回 2~4週間間隔で2回、初回接種後24週後に追加接種)

概要:A型肝炎は、A型肝炎ウイルスの経口感染や糞口感染によって急性肝炎を発症します。潜伏期間は2~6週間です。A型肝炎の致死率は0.1~0.3%です。予防は手洗いや加熱したものを食べる、飲用水はミネラルウォーターを用いるなどありますが、ワクチン接種が確実です。

流行地域:A型肝炎ウイルスは世界中に分布しています。途上国だけでなく先進国でも注意が必要です。

対象:主に1歳以上の方。

有効性:A型肝炎ワクチン2回接種後の抗体陽転率は100%で、3回目接種でさらに後退下が上昇し、接種後5年でも抗体価が維持されます。

B型肝炎ワクチン (接種回数3回 4週間隔で2回、初回接種後20~24週後に追加接種)

概要:B型肝炎ワクチンに感染すると、20~30%が急性肝炎を発症し、その1%は重症化します。また、ウイルスが持続感染し、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞がんの原因になります。主な感染経路は、血液を介しての感染と性行為感染です。

流行地域:B型肝炎ウイルスは世界中に分布しています。途上国では感染予防の観点から、先進国では就学時の要件として必要な場合も多い

対象:日本では乳幼児は2016年以降定期接種化されていますが、それ以前の方は、渡航に関係なく全員に予防接種をおすすめします。

有効性:3回の接種で90%以上に感染防御に十分な抗体価が得られます。

狂犬病ワクチン

概要:狂犬病ウイルスは、すべての哺乳動物が感受性を有し、咬傷部位から感染し、局所の末梢神経から逆行性に中枢神経系に侵入して、致死的な脳炎を引き起こします。発症すると、死亡率は100%です。狂犬病感染動物(イヌ、コウモリなど)に咬まれることによって感染します。

流行地域:一部の国を除き、ほぼ世界中に存在しています。

接種方法:狂犬病ワクチンの接種には「暴露後接種(咬傷を受けた後にワクチン接種を開始する)」と「暴露前接種」がある。

暴露前接種:狂犬病ワクチンを0日、7日、21日または28日の計3回筋肉注射する

暴露後接種:エピソードがあってから、0、3、7、14、28の合計5回接種する(WHOエッセン法)+十分な洗浄・消毒+抗狂犬病免疫グロブリン投与

有効性:暴露前接種で0、7日の2回のみでも十分に発症阻止レベルの抗体価の上昇が誘導される。

髄膜炎菌ワクチン  (接種回数1回 筋肉注射)

概要:髄膜炎菌は12種類の血清群に分類されているが、侵襲性髄膜炎菌感染症は主に5つの血清群(A、B、C、W、Y)によって起きます。侵襲性髄膜炎菌感染症には、菌血症、敗血症、髄膜炎、髄膜脳炎があるが、致命率は10~15%と高く、特に髄膜炎菌菌血症の場合は約40%が死亡する。

流行地域:日本での発生は少ないですが、アフリカの髄膜炎ベルトと呼ばれる地域では注意が必要です。

有効性:国内での臨床試験ではA群91.2%、C群80.2%、Y群93.8%、W-135群89.1%で抗体が得られたとの報告があります。

日本脳炎ワクチン

概要:日本脳炎は主にコカダアカイエカが媒介する日本脳炎ウイルスによる中枢神経系感染症である。日本脳炎ウイルスは高率に不顕性感染(罹っても症状がない)を起こしますが、発症した場合の死亡率は20~30%、生存できたとしても30~50%で神経学的後遺症を残し、有効な治療法がありません。

流行地域:東アジア、東南アジア、南アジア一帯で流行しており、年間3~5万の感染者があるとされています。

接種方法:トラベラーズワクチンとして接種する場合は任意接種になります。お子さんの場合は定期接種のひとつとして公費で受けることができます。

日本脳炎の接種歴がない:初回接種を1~4週間隔で2回、追加接種を半年~1年後に1回

日本脳炎の接種歴がある:日本の定期接種を完了して10年以上経過している場合は、少なくとも1回の追加接種を行います。その後は必要に応じて3~5年ごとに1回の追加接種を行うことが望ましいです。

有効性:2回接種後ならびに3回接種後の抗体陽転率は100%です。

安全性:因果関係は不明ですが、マウス脳由来ワクチン接種後に急性散在性脳脊髄炎を発症した症例が認められたため、2009年からVero細胞由来不活化ワクチン(現行のワクチン)に変更になっています。

2022年4月現在、クリニックでは日本脳炎ワクチンの入荷が安定していません。

これは、日本脳炎ワクチンを製造している2社のうち、1社(阪大微生物病研究会)のワクチンに製造上の問題が生じたため、製造が一時停止となりました。そのため、ワクチンの供給量が大幅に減少し、出荷量の調整が行われました。ワクチンの製造は再開しており、令和3年12月より供給が再開されていますが、しばらくの間供給の不安定な状況が続きます。

黄熱ワクチンについて

概要:黄熱はネッタイシマカなどの蚊によって媒介される急性熱性疾患です。免疫のない集団にウイルスが持ち込まれて媒介蚊が存在すると爆発的な流行拡大が起き、死亡率は60%に達するとされます。黄熱の治療法はなく、ワクチン予防で発症を防ぐことが必要です。

流行地域:熱帯地域 黄熱ワクチンの接種証明(イエローカード)が入国時に要求される国があります。

接種方法:黄熱ワクチンは日本では厚生労働省指定の接種機関のみでの接種になります(トラベルクリニックでは接種できません)。弱毒生ワクチンであり、鶏卵で培養されています。製造工程でゼラチンが含まれています。そのため、鶏卵やゼラチンに対するアナフィラキシーの既往があるかたは接種ができません。また、9か月未満のお子さんは脳炎発症のリスクが高いことから禁忌とされています。

マラリアの予防薬について

概要:ハマダラカによって媒介されるマラリア原虫が体内に入ることで、発症します。原虫により4種類に分類され、特に熱帯熱マラリアは悪性マラリアと呼ばれ、適切な治療を受けないと致死率が高い疾患です。予防には、ハマダラカが吸血する日暮れから夜明けまでの間は外出を避け、適切にDEET(ディート)の入った防虫剤などを使用します。マラリアにはワクチンはいまのところありませんが、予防薬を適切に内服した場合、約90%予防することができます。

予防薬の適応:高度流行地に1週間以上滞在する方、マラリア発症後に適切な医療機関がない地域に滞在する方 一般に、熱帯アフリカ地域の1か月の滞在で感染率は約0.2%とされています。

予防薬について:マラリアの予防薬は主にメファキンとマラロンの2種類があります。毎日内服する必要がありますが、小児適応があり、副作用が少ないマラロンをおすすめしています。滞在期間が長期になる方については、メファキンの方が費用が少なくて済みます。マラロンはアトバコンとプログアニルという2つの薬剤を組み合わせて作られた薬剤です。渡航1~2日前から内服を開始し、1日1回1錠を内服します。メファキンと比較すると副反応が少なく、消化器症状と悪夢などの精神神経症状の出現頻度は約半分とされています。

マラロン 1錠 498.1円 小児用 1錠 161.5円 (11~20kg1錠、21~30kg2錠、31~40kg3錠、40kg以上は成人と同じ)

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